働き方改革関連法について

皆さま、こんにちは。KIGの岡村です。

ワーク・ライフ・バランス担当ということで、この4月から始まった「働き方改革関連法」ついて、お話しをしたいと思います。

 

働き方改革」が叫ばれるようになった背景は、少子高齢化、人手不足による国力の低下があるといわれており、企業・団体がそれぞれ将来を見据えて「今の時点でできること」を少しずつ行ってきている段階でした。

 

それが、この4月から、働き方改革関連法の施行により、業種や企業規模問わず「年次有給休暇取得日数5日間」が義務化されたのです。

 

ひと昔前は「有給休暇は病気や非常事態のときのために置いておく」などという考え方が多かったのですが、今はしっかり休暇を取って、働く人のモチベーションを上げ、仕事の効率を向上させる、とシフトしてきています。

 

労働基準法では、事業主は6か月を通じて8割以上出勤する従業員に対し、10日以上有給休暇を与えなければいけない(フルタイム以外の非正規従業員等は付与日数が異なる場合があります)と定められています。

 

その、年間10日以上の有給休暇を付与される従業員に対し、毎年5日間、時季を指定して有給休暇を与えることが義務付けられました。また、年に5日以上取得させていないと罰則規定も設けられています。本当に法律で定められた通り有給休暇を取得させているかどうかの調査方法は、抜き打ち調査etc…と噂されていますが、どんなときでも堂々と「取得させています!」といえる状況でいたいですよね。

 

これまで有給休暇取得を推奨するような雰囲気ではなかったとか、取得しないことが当たり前だったような企業、はたまた全体的には取得できているけれど、どうしても一部の人が取得しない…といった企業ではどのように対策を講じていけばよいのでしょうか?

 

実際に企業が行っている対策・制度を紹介しますと、1日単位ではなく、ちょっとした用事でも有給休暇を取得できるようにする『半日・時間単位の有給休暇』や、休日が平日を挟んで並ぶ、いわゆる『飛び石連休』の場合に、平日を有給取得奨励日に設定して長期休暇を取得させるもの、また『バースデー休暇などの特別な年休制度』で従業員が有給休暇を取得する日を分散させ業務の影響が少ないようにすることや、工場含め全社の稼働を停止させる『一斉有給休暇』などがあげられます。

 

有給休暇を効果的に取得して、従業員皆さんがイキイキと働ける職場環境づくりができるよう、企業全体で相談してより良い有給休暇取得率向上策を練り、モチベーションアップにつなげていただければと思います。

飲食店の開業について

皆さま、こんにちは、KIG飲食業系担当の中嶋と申します。

 

今回は、初めて飲食業を開業される方々向けに、飲食店を開業するにあたって、その準備から実際の開店までの大まかな流れについてご説明をいたします。準備から実際の開店まで次の7つの段階を踏むことになります。つまり、

 

(1)事業計画立案から開店まで大まかなスケジュールを組み立てる。

(2)具体的な事業計画を立案する。

(3)業種・業態、すなわち、基本コンセプトを構想する。

(4)ターゲットを選定する。

(5)第一次実施計画を立てる。

(6)メニューを立案する

(7)第二次実施計画を立てる。

 

段階ごとに簡単に見ていきますと、

 

(1)事業計画立案から開店までのスケジュール

文字通り、計画から開店までの日程的なスケジュールとなります。実際の開店までの時間的な見積りを立てるわけです。

 

(2)事業計画を立案する 

飲食店経営もやはり事業です。キチンと事業計画を立てる必要があります。

 

(3)業種・業態、すなわち、基本コンセプトを構想する。

どんなものをどのような販売方法で売るのか、そして、お店の基本コンセプトと共にその骨組みを組み立てる必要があります。

 

(4)ターゲットを選定する

あなたのお店に来店していただきたい、ある特定のお客様層を選定する必要があります。

 

(5)第一次実施計画を立てる

色んな事柄を同時並行して実施する中で、特に優先度の高いもの、早期に取りかかるものがあります。

 

(6)メニューを立案する

あなたのウリにしたい点を具体的に考えます。

 

(7) 第二次実施計画を立てる

第一次実施計画の次に引き続いて実施する内容があります。

 

次回以降、段階ごとにその詳細をご説明いたします。引き続きよろしくお願い申し上げます。

働き方改革について

中小企業診断士の玉田です。
先日篠山ABCマラソンを走ってきました。
無事完走と自己ベスト更新でホッとしています。
歳を重ねてもまだ走力がアップすることを経験して、改めて継続の大切さを実感しています。

 

さて今回は今年のトレンドの一つ「働き方改革」について取り上げてみたいと思います。

毎年大小様々な法改正や新法が施行されます。
法令毎に各業界・各企業で法案が施行されるまでに対策を練ることも少なくありません。

今年はほとんどすべての業界で影響がでるという点で、2019年4月施行の働き方改革関連法と10月の消費税法改正あたりの注目が高まっているのではないでしょうか。
今回は目前に施行が迫っている働き方改革関連法案について取り上げます。

 

#働き方改革関連法のポイント

どうやって対策していけば良いか悩まれている方もいらっしゃると思うので、法改正の要点を振り返りながら対応方針を整理してみましょう。

法規制については法令遵守するために細則を確認していくことはもちろん必要ですが、それ以上に目的を確認することも大切です。

働き方改革関連法は、ここ数年来政府が打ち出している働き方改革の実現に向けた法改正で、一億総活躍社会実現に向けた多様な働き方を目指して成立したということを大枠として捉えておくとやるべきことが見えやすくなります。
下記が政府の働き方関連情報まとめサイトなのでご参考まで。
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html


細かな条文の解説はここでは割愛しますが、多様な働き方を実現するために各種労働関連法規を見直して、「生産性をあげること」「働く環境の改善」といったことを実現しようとしています。

ここで思い出したいのが労働関連法規の目的ってなんだったか?ということです。
ひとことで要約すると「安全で健康に働けるようにすること」を目的につくられています。

今回の法改正ではざっくりまとめると、労働時間の上限規制や労働時間の客観的把握などがもりこまれているので、働きすぎて健康を害さないようにね、ということが目的の一つと解釈すれば対策をたてやすくなります。

 

各業界・各企業で現時点での対応状況が様々だということを考えると、取るべき対策も一様ではありません。
ただし、決まり事としてやるべきことがあり、それらはツールで解決できるものも少なくありません。

たとえば「労働時間把握義務」といった項目の対策をするにあたっては、この対策として勤怠管理システムの需要が増えています。

世の中にはたくさんの勤怠管理ツールがあります。
タイムカードを押してる人、紙に書いてる人、Excelで提出している人etc.
各企業によって最善の方法は異なりますが、電子化することで集計を機械に任せたり二度入力の手間を省くことができます。
最近はPCでボタンを押すといった動作以外にも、ICカードをかざしたりスマホから勤怠登録できるものもあるので、各企業のIT化の進度の合わせて選択肢も多様になってきています。

 

今回の法改正の対応するために管理部門の方の労働時間が増えたとなると本末転倒です。
おまけに人手不足が深刻なご時世なので対応人員を増やすために採用しようにもなかなか人が採れないことも十分考えられます。
ツールで解決というのも有効な対策の一つなのでまだ電子化されていない企業の方は検討をされてみてはいかがでしょうか?

 

私は主にIT業界で仕事をしているためついついツールの話をしていしまいますが
ここで言いたいのはツールで解決しましょう、という話ではありません。

 

昨今の働き方改革の動きには、昔ながらのやり方が制度疲労していたり昔から使っているツールが陳腐化して使い物にならなくなってきていることが由来していると感じています。

 

先程ご紹介したようなツールを導入することは改革できる魔法の杖ではなく
同時に人・組織や制度を変えることと合わせて効果が大きくなるものです。

各種制度づくりや社員教育、組織マネジメントなどでコンサルタントがお役に立てる場面はたくさんあります。

 

法令対応という意味合いだけでなく、企業を変えたいという方はぜひ一度KIGにご相談ください。

経営者のための統計学入門講座3

統計学を勉強するに当たっては、まず平均・分散・標準偏差を理解することが求められます。今回は、平均・分散・標準偏差の現実的な意義について説明していきます。

 

平均…いくつかの数値の代表として採用する値の一つ。相加平均・相乗平均・調和平均などがある。普通,相加平均をさす。(大辞林 第三版)

 

分散…資料の散らばりの度合を表すもの。平均値と各資料値の差(偏差)を2乗し,それを算術平均したもの。分散の数値が小さいほど資料は平均値のまわりに集まっている。標準偏差は分散の正の平方根である。(大辞林 第三版)

 

標準偏差…資料の散らばりの度合を表す数値。平均値と各資料の値の差(偏差)を2乗し,それを算術平均した値の平方根として求める。標準偏差が小さいことは,平均値のまわりの散らばりの度合が小さいことを示す。(大辞林 第三版)

 

これらは、国語辞典による解説ですが、入門書も概ねこのように説明しています。そして、入門書では、この説明の後に具体例を使って算出方法を解説するのが一般的です。ここで問題となるのは、算出された平均、分散、標準偏差が、具体的に何を狙っているかまで踏み込んだ解説がないことです。

 

平均、分散、標準偏差の具体例でよく使われるのが、テスト結果です。試しに算出してみましょう。下記のような20人のテスト結果があったとします。

f:id:KIG:20190318093004p:plain

このテスト結果における平均、分散、標準偏差は次のようになります。

平均=58.35、分散=264.13、標準偏差=16.25

 

さて、平均、分散、標準偏差は計算できました。では、これらは一体何を意味するのでしょう?どう使えばいいのでしょう?既に述べたように、残念ながら、統計学の入門書にはそれらを算出できたことでどうなるかの説明はありません。統計学の入門書を読んでもわからないのは、それらの算出方法をいくら丁寧に説明しても、算出結果が何を意味するのかを説明してくれないからです。そこで、今回はテスト結果について平均、分散、標準偏差を算出ることの意味を説明します。

 

そもそも、教師が生徒に対してテストをするということは、どんな意味があるでしょうか?目的は2つあります。一つは、個人個人の生徒の習熟度を把握すること。もう一つは、クラス全体の習熟度を把握することです。個人個人の生徒の習熟度は、テスト結果だけで十分です。問題はクラス全体の習熟度です。クラス全体の習熟度を把握するために、平均、分散、標準偏差を使うのです。なお、テストに関して言えば、平均と標準偏差があればいいのですが、標準偏差は計算上、分散がないと計算できないので、分散も計算することになります。

 

クラス全体の習熟度と観点において、平均は高い方がいいのは直感的に理解できると思います。であれば、平均だけでいいと考えがちですが、そうではありません。例えば、同じ20人のクラスで平均だけ70点というデータがあったとします。平均70点というと優秀なクラスのように感じますが、その実態は20人中14人が100点で残り6人が0点だったら、どうでしょう。むしろ、何らかの改善が必要だと思いませんか?実際、この例の分散は2,100、標準偏差は45.83となります。最初の例と比べると、全ての数値が大きくなっています。最初の例と比べると、平均では勝っていますが、生徒間の習熟度に差が大きいクラスといえます。つまり、平均だけでは実態を把握できないのです。

 

分散や標準偏差は、データのばらつきを表します。それらの数値が大きければ大きいほど、ばらつきが大きいデータとなります。クラスの習熟度という観点からは、ばらつきは小さい方がいいものです。平均が高くても、標準偏差が高ければ、それだけクラスの習熟度にばらつきがあるということなので、教育方法等の見直しが必要ということになります。従いまして、教師からすれば、平均を上げるだけでなく、標準偏差も小さくなるように生徒に教える必要があるというわけです。

 

統計学は、より確からしい意思決定をするために存在します。要するに、平均、分散、標準偏差は使われてこそ、意味があるのです。そのことを今回はテストの例を使って説明しました。今後も、ケーススタディ形式で統計学の活用方法を解説していきます。

経営者のための統計学入門講座2

今回は、「統計」から「統計学」が生まれてきた背景について説明していきます。

 

既に述べたとおり、統計は、人やものなどを集計して様々な施策の判断資料となるものでした。時代が進んで、17世紀のイギリスにおいて、これまでの統計の考え方とは違う考え方が生まれました。

 

当時、ロンドンの商人であったグラントが、1662年に「死亡表に関する自然的および政治的諸観察」を著しました。この本には、当時市販されていた死亡表を精密に観察して数枚の表に要約し、その結果から導出された人の出生・死亡に関する法則が書かれています。

 

この本の意義は、大量のデータを要約して有用な情報を抽出し、それから自然的・社会的法則の発見につなげ、更には将来の指針を決定出来るという、現代の統計学の考え方が生まれたことにあります。すなわち、統計学という、統計情報を生成するための理論体系が構築されるようになったというわけです。

 

19世紀に入ると、数学的定式化を背景として統計学が飛躍的に発展します。例えば、ベルギーの天文学者・数学者であるケトレーが「人間について」を刊行しました。その中で彼は、人間に関する現象の中に法則を発見するためには、数多くの事象を観察した上で、帰納的に推論すべきことを主張しました。

 

このことは、人口が増え、状況が複雑化していく中において意思決定を行う上では、諸事象を包括する一般法則が要請されていたことを意味します。そして、この要請は現代の統計学に対してもそのまま引継がれています。

 

ここまで、「統計」とは何かから、「統計」と「統計学」の違い、「統計学」が生まれてきた背景を説明してきました。「統計」、「統計学」それぞれ言葉の意味は違いますが、その目標とすることは同じです。すなわち、どちらも意思決定を目的としていることです。より確からしい意思決定を行うために、「統計」や「統計学」が存在します。次回は、統計学を現実にどう使えばいいかについて説明していきます。

「経営者のための統計学入門講座1」

統計とは、結局何なのでしょう?一言で言えば、統計とは「合理的と思われる意思決定を行うために必要な情報の一つ」です。統計学を勉強するに当たっては、この点をまず押さえておかなければなりません。

 

統計学の入門書を書かれるような方々は、学問として統計学を捉えているので、このことは意外に書かれません。そのような方々が、統計学初心者に教えるに当たって真っ先に考えることは、難しいと思われている統計学を如何に分かりやすく書くかについてです。もちろん、難しい数式を分かりやすく説明することは大事です。

 

一方で、その前提となる統計の目的を説明しなければ、統計学を理解したとは言えません。事実、私はこれまでの入門書を読んだ限りでは、統計学が腑に落ちたとは言えませんでした。確かに、平均や標準偏差の計算方法は理解できます。問題は、それらが現実の問題を解決する上でどう役立つのかが見えなかったことです。

 

冒頭で述べた答えに到達して、ようやく統計学の理解が進みました。そこで本文では、回りくどくなることを承知の上で、この点をしっかり説明していきます。

 

統計の歴史を紐解くと、統計資料は有史以来存在していました。言い換えれば、統計資料そのものが“歴史”といえます。例えば、紀元前31世紀頃の古代エジプトにピラミッド建設のために行われた統計資料があります。また、紀元前20世紀頃の中国・殷王朝時代では国勢調査が行われました。

 

では何故、そのような昔から統計資料が存在したのでしょうか?それは、その当時の政権が、合理的と思われる施策を実行するための判断根拠を欲していたからです。先の例で言えば、古代エジプトにおいては、ピラミッド建設が可能かどうかを判断するために統計資料が用いられ、中国・殷王朝においては税収や動員可能兵士数を把握するために国勢調査が行われました。統計が、合理的と思われる意思決定を行うための情報の一つというのは、こういったことを指すのです。

 

お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、本文では「統計」という言葉と「統計学」という言葉が出てきています。この二つの言葉は、似ているようで微妙に違います。今回、お話しているのは、実は「統計」についてで、厳密には「統計学」の説明ではありません。すでに説明したように、「統計」は情報の一つです。では、「統計学」はというと、「統計」という情報を生成・加工するための理論体系です。次回は、「統計」から「統計学」が生まれてきた背景について説明していきます。

HACCP導入の手順

HACCPの12手順7原則

HACCP導入の義務化って言われても何から手をつければいいのか、分からないですよね。HACCPの導入には一般的に12手順7原則、という考え方があります。12手順7原則に沿って作業を進め、必要な文書を残しファイリングしていくことで、HACCPシステムとそれらが記載された文書が出来上がります。HACCP導入のための12手順7原則は以下のようになっています。

f:id:KIG:20190225092709p:plain

手順1~5は、HACCP導入に向けた準備段階。手順6以降(原則1~7)はHACCPの心臓部であるCCPの決定とCCPでの管理基準値、逸脱値、逸脱時の処置手順と記録方法、検証方法などを規定します。

HACCPの考えを取り入れた衛生管理(B基準)

A基準の対象となる比較的規模の大きい事業所やと畜業者は、12手順7原則に沿って抜けなく漏れなくシステムを構築していく必要があります。 一方で、殆どの事業者が対象となるB基準(HACCPの考えを取り入れた衛生管理)においては、12手順7原則のうち、製品工程図の作成、危害分析、CCPの特定、CCPをどうやって管理していくか、といういくつかの手順・原則を抜粋し、衛生管理計画を作成します。これが、「HACCPの考えを取り入れた・・・・」と言われる所以です。

 

それでは、今回はB基準で求めらえる、HACCPの考えを取り入れた衛生管理計画の作成について、「家でカップ麺をつくる」を例にとってみていきます。

 

製品工程図

製造工程図は、原材料が加工されていく過程を順に記載されたものです。加工工程としては次のようなものが挙げられます。

  1. 貯液
  2. 調合
  3. 加熱殺菌
  4. 攪拌
  5. 保持
  6. 濾過
  7. 充填
  8. 包装
  9. 陽圧
  10. 冷却
  11. 冷凍

製造工程図は後に行う危害分析の作業のベースになるものなので、抜け漏れがあってはなりません。製品の製造工程に精通したメンバーを入れて、出来るだけ細かく製造工程を分解して記載していきます。それでは、カップ麺を家で食べる際の製造工程図を次に示します。

f:id:KIG:20190225092733p:plain

水道水をやかんに入れてお湯を沸かし、一方で、カップ麺からかやくをとりだしてかやく投入。沸騰後にお湯をカップ麺に入れて、3分保持。最後に箸で混ぜる、という工程をブロックフローで示しています。

このように1つひとつの工程を分解します。カップ麺を食べるまでに12工程を要しています。そして、この後の危害分析では、1工程ずつ想定される危害を考えていくことになります。

危害分析(HA)

次に製造工程図をもとに、危害分析を行います。危害分析は工程ごとに想定される健康危害を、①生物的、②化学的、③物理的の3つの切口で列挙していきます。そして想定した危害の中からCCP(重要管理ポイント)を設定していきます。

f:id:KIG:20190225092802p:plain

ポイントと流れは以下の通りです。

  1. 予想される危害(ハザード)は全て列挙する。
  2. ハザードを生物的、化学的、物理的に分類する。
  3. 列挙したハザードが、顧客の健康面や市場での拡大性の観点から、重大かどうかを評価する。
  4. 重大としたハザードが、一般的衛生管理で十分に防止できるものかどうかを見極める。一般的衛生管理では十分ではないと判断されれば、その工程をCCPとする。

今回の事例では、工程5の加熱・沸騰工程をCCPとしました。仮に飲料水や原料に病原性微生物が混入していた場合、この工程で殺菌する必要がありますが、予期せぬ突発的なコンロの異常があった場合(日常点検はきちんと行っている前提)、重大なハザードとなる可能性があります。

このように、危害分析からCCPを特定していきますが、ここで重要になるのが、CCPに特定しなかったその他の項目です。なぜなら、CCP以外の危害は、一般的衛生管理がきちんと機能していることを前提に、CCPとはならない、と判断したからです。水道水からの錆の持ち込み防止は、フィルタの日常点検で担保します。これは一般的衛生管理の中の設備の保守点検にあたります。環境や作業者由来の異物混入の防止は、キッチンの定期清掃とエプロンの着用で担保します。これは一般的衛生管理の施設の保守点検と従業員の衛生管理にあたります。繰り返しになりますが、HACCPでCCPに注力するためには、一般的衛生管理の徹底が大前提となっているのです。

HACCPプラン(CCP整理表)の作成

 最後に、決定したCCPについて、モニタリング方法や異常時の措置、検証方法、記録文書名などを整理します。HACCPプランは、5W1Hで整理するように心がけます。誰がチェック・検証するのか、記録はどこに記載されるのか、どのようにモニタリングするのか、何をどのようなタイミングでモニタリングするのか。

 

HACCP導入でKIGが提供する価値

 HACCPの運用においては、日々の一般的衛生管理とHACCPプランの実行の過程で、記録とその文書管理に多大な労力を要します。KIGでは単にHACCPの導入を支援するだけでなく、IoTを取り入れた、記録文書のペーパーレス化や自動モニタリングとデータの自動取得などをパッケージ化しています。絶対に欠かせないが付加価値を生まない記録作業と文書管理に要する工数をIoTによって削減し、QCDの強化に経営資源を集中させます。是非、ご相談下さい。