ものづくり補助金(平成31年度)採択のポイントとは?(後編)

KIGのカイゼン屋 上大田です。

前回に引き続き「ものづくり補助金」について、採択のポイントや実際の採択事例について説明させて頂きます。

 

ものづくり補助金の採択ポイント!「革新性」について【復習】

「ものづくり補助金」の採択ポイントは「革新性」であると説明いたしました。

そして、その「革新性」の定義は次のとおりでした。

 

 

「自社になく、他社でも一般的ではない、新たな役務を取り込んだ(取り入れたも含む)新サービス、新商品開発や新生産方式」

 

 

また、革新的かどうかの判断基準は、『当社比』ではなく、『地域』や『業種内』など、『相対的』な視点から、判断されると説明しました。

 

つまり、

 

「地域の同規模の企業や同業他社で、まだどこもやっていない」

 

をアピールすることが重要ということです。

 

ものづくり補助金採択事例〜革新性の観点から分析〜

では、実際に採択された事例を基に、どのように「革新性」をアピールしていけば良いのかを考えてまいりましょう!

 

ものづくり補助金採択事例①自社開発IoT活用による射出成形機等の現場管理の改善

まずは、自動車関連部品を柱に、家電、住宅関連、OA機器などのプラスチック部品の製造を手がけるメーカーの事例です。

 

従来は、「成形材料投入記録・乾燥機点検表」、「射出成形機ごとの作業日報」、「金型ショット数管理台帳」など、従業員が作業工程を一つずつ目視で確認し、手書きで状況を把握していたため、作業に時間がかかり、人為的ミスが頻発しやすかったとのこと。

 

そこで、成形工場内にある全25台の射出成形機にIoTを導入し、データパネルから作業工程や機械の稼働率を確認することが可能になり、現場の従業員から事務室の者までリアルタイムで製造状況の把握が実現でき、労働作業の効率化と時間短縮を測ることができたそうです。

 

ここでのポイントは、何か新型の設備を導入しました、というのではなく、従来からの設備であってもIoTを活用した新たな取り組みにより、生産性を向上することができた、という点を「革新性」としてアピールしている点です。

 

この事例の場合もそうですが、IoTを活用した新たな取り組みには、IoT端末やネットワークインフラなど、それ相応の初期投資が必要となります。そういった投資においても、ものづくり補助金が活用できるということです。

 

ものづくり補助金採択事例②藻塩製造装置の省エネルギー化・生産性向上による競争力強化

 

次は、海水を濃縮して作る藻塩の製造プロセスにおいて、省エネルギー化・生産性向上を達成した事例です。

 

海水を濃縮する製造プロセスは、

逆浸透膜機による濃縮(塩分濃度3→8%)、

②減圧蒸発機による濃縮(8→23%)

となっており、特に②減圧蒸発機による濃縮で非常に大量のエネルギーを使用し、コスト高の原因となっていました。

 

そこで、エネルギー使用量の少ない①逆浸透膜機を増設し、②減圧蒸発機でのエネルギー消費や濃縮にかかる時間を減らすことで、省エネルギー化・生産性向上を達成しました。

実際にはテストを何度も繰り返して最適な運転条件を検討・工夫することで目的を達成したようです。

 

ここでのポイントも、設備の増設は行なっているものの、生産工程の見直し食品製造のコストで大きな割合を占めるエネルギーに着目した点が、「一般的ではない新たな生産方式」の導入、つまり「革新性」として評価されたと考えられます。

 

 

この2つの事例から、採択のポイントを考えてみますと、1.課題が明確になっている、2.他社で対応出来ているところがない、3.自社で独自に試行錯誤しながら取り組んでいる、といった点が重要であると言えます。

 

1.課題が明確になっている、を分かりやすく説明しようとすると、3.自社で独自に試行錯誤しながら取り組んでいる、の説明でせっかくの独自性が損なわれたりしがちになります。

 

そこが難しかったりするのですが、KIGにはものづくりの多種多様な専門性を有した中小企業診断士兼エンジニアが多数存在しており、それぞれの専門性を活かした支援ができるのはもちろんのこと、現場の苦労を実際に経験し、独自の工夫で乗り越えてきた方が多いので、現場目線での支援ができます。

課題解決にものづくり補助金の活用をご検討されている方は、ぜひ、KIGにご相談ください!